RubyのWebアプリケーションフレームワーク「Ruby on Rails」を試してみた

普段のお仕事に役立つ普遍的なプログラミングTIPSや、業界で注目度が高い最新情報をお届けする「編集部ピックアップ」。
今回はRubyのWebアプリケーションフレームワーク「Ruby on Rails(ルビーオンレイルズ)」の導入方法ついてお届けします。

Ruby on Railsとは

Ruby on Rails(以下、Rails)は、プログラミング言語「Ruby(ルビー)」で書かれたフレームワークで、GitHubやShopifyのような世界的に有名なサービスのほか、国内でもクックパッドなど多くのWebアプリケーションの開発に使われています。オープンソースのフレームワークであり、MITライセンスに基づいて商用利用もできます。

RailsはModel-View-Controller(MVC)と呼ばれるソフトウェアアーキテクチャに基づいたWebアプリケーションを開発するためのフレームワークです。MVCは次の3つの要素(機能)で構成されています。

Model(モデル)データとビジネスロジックを扱う機能で、データの変更をViewに通知する役割も担っています。RailsではActive RecordがModelに相当します。
View(ビュー)Modelのデータをユーザーインターフェースに出力します。RailsではAction ViewがViewに相当し、HTMLへRubyスクリプトを埋め込むembedded Ruby(ERB)ファイルなどのテンプレートで構成されます。
Controller
(コントローラ)
ユーザーインターフェースからの入力をメッセージに変換してModelに伝えます。Railsでは複数のモジュールで構成されたAction PackがControllerに相当します。

Ruby on Railsクイックスタート

Railsの利用は非常に簡単です。今回はWindows 10上のVisual Studio Code(VS Code)を使用し、公式のチュートリアルの内容に従って、RailsのWebアプリケーションを作成します。

Railsを使ってWebアプリケーションを作成するために、次の5つをインストールします。

Rubyプログラミング言語(Railsなどのインストールにも必要)
SQLite3Railsの既定のデータベース
Node.jsJavaScript実行環境
(Rails 7.0以降は不要ですが、Yarnのインストールに必要)
Yarnパッケージ管理システム
Ruby on RailsRails本体

Rubyのインストール

以下よりWindows版のRubyをダウンロードします。

ここでは、Railsで必要となるツール群が含まれているインストーラ「Ruby+Devkit 3.0.3-1 (x64)」をダウンロードします。

Rubyのダウンロード

ダウンロードした「rubyinstaller-devkit-3.0.3-1-x64.exe」をダブルクリックして実行し、指示に従ってインストールします。インストールが完了すると、続いてコマンドプロンプトで以下のようなインストールのオプションが表示されるので、「3」を入力しEnterをクリックして、「MSYS2」と「MinGW」をインストールします。Railsを使用するにはこれらの環境、ツールが内部的に必要になります。

「MSYS2」と「MinGW」のインストール

インストールが完了すると、以下のように再びオプションの選択を求められるので、何も入力せずにEnterをクリックするとコマンドプロンプトが自動で閉じます。

「MSYS2」と「MinGW」のインストール完了

最後にターミナルなどで以下のコマンドを実行すると、インストールされたRubyにバージョンを確認できます。

ruby -v
インストールされたRubyのバージョン確認

SQLite3のインストール

次にRubyのパッケージ管理システムである「gem」を使ってSQLite3をインストールします。 VS Codeのターミナルを起動し、以下のコマンドを実行します。

gem install sqlite3

続いてSQLiteの公式サイトのダウンロードページから、「Precompiled Binaries for Windows」にある次の2つのファイルをダウンロードします。
※ 下記の「xxxxxxx」にはバージョン番号が入ります。

  • sqlite-dll-win64-x64-xxxxxxx.zip
  • sqlite-tools-win32-x86-xxxxxxx.zip
SQLiteのバイナリファイルのダウンロード

ダウンロードした2つの圧縮ファイルを解凍し、その中に含まれている「sqlite3.dll」と「sqlite3.exe」をRubyのインストールフォルダにある「bin」フォルダに配置します。

SQLiteのバイナリファイルの配置

最後に以下のコマンドを実行して、インストールされたSQLite3のバージョンを確認します。

sqlite3 -–version
インストールされたSQLiteのバージョン確認

Node.jsのインストール

以下のページより「Node.js」のインストーラーを入手インストールします。Rails 7.0よりNode.jsは不要となっていますが、この後のyarnのインストールに必要です。

yarnのインストール

yarn」は直接インストールすることもできますが、現在ではパッケージマネージャーの管理ツールである「corepack」を通じてインストールできます。

使用しているNode.jsのバージョンが16.10以上の場合は以下のコマンドでcorepackを有効化します。

corepack enable

使用しているNode.jsのバージョンが16.10未満の場合は以下のコマンドでcorepackをインストールします。

npm i -g corepack

Ruby on Railsのインストール

Railsは2021年12月15日に最新バージョンの「7.0」がリリースされています。

Rails 7.0ではフロントエンド開発周りの機能が刷新されており、BabelやWebpack、Node.jsを使用する必要がなくなりました。今回はこのRails 7.0をインストールして試してみたいと思います。

Rails 7.0の最新バージョンをインストールするには、以下のコマンドを実行します。

gem install rails

インストールが完了したら、以下のコマンドでインストールされたRailsのバージョンを確認できます。

インストールされたRailsのバージョン確認

アプリケーションの作成と起動

Railsのnewコマンドを使うことで簡単にアプリケーションのひな形を生成することができます。以下のコマンドを実行すると、「myapp」という名称のアプリケーションフォルダを作成してその中にRailsに必要な各種ファイルを自動的に生成・配置します。

rails new myapp

自動生成されるフォルダとファイルについては、公式サイトのチュートリアルの情報をご覧ください。

作成したmyappアプリケーションをブラウザ上に表示するには、Railsに含まれているPumaというWebサーバーを起動する必要があります。以下のコマンドで作成したアプリケーションのフォルダに移動します。

cd myapp

Railsのserverコマンドを実行し、アプリケーションを起動します。

rails server

起動に成功すると、ターミナルに以下のような内容が表示されます。

Railsアプリの実行

ブラウザで「http://localhost:3000/(または、http://[::1]:3000/)」にアクセスすると以下のような画面が表示されます。

Railsアプリの実行をブラウザ上で確認

おわりに

今回はRailsを利用するための開発環境の準備からはじめて、Railsを使ってアプリケーションを作成し、RailsのPumaサーバーでブラウザ上に表示するところまでを紹介しました。次回は、RailsのMVCアーキテクチャを使ってmyappに簡単な機能を実装していきます。

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