「これまでの業務アプリケーションはどうなる?」 ー Toolsの杜 レポート (株式会社富士通九州システムズ 様) ー

2018年7月10日に開催した「Toolsの杜(ツールノモリ)」で、株式会社富士通九州システムズ(以下、富士通九州システムズ)の常磐 和宏 様とグレープシティの森谷による対話型のセッションが催されました。
こちらはセッションを受講したグレープシティ社員によるレポートです。


AI/IoT時代に求められるアプリケーションのUIを考える

富士通九州システムズの常盤様は、IoT/Robotics/AIなどの研究開発を担当しています。研究中のソリューションを紹介いただきながら、これまでの業務アプリケーションを振り返りつつ、これからのITにおける大きな流れであるIoTやRobotics、AIについてお話しいただきました。
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SoR / SoE

現在のIT業界では、「SoR(System of Record)、「SoE(System of Engagement)」という言葉が注目されており、これらは簡単に表現すると、システムの目的を指す言葉です。
ここでは、SoRとSoEという言葉を軸に「業務アプリケーション」の今までとこれからを定義付けました。

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例えば、オンラインショッピングサイトの顧客情報管理システムや、クレジットカード情報管理システムなどがSoRです。
一方で、スマートフォン向けアプリケーションは、リリース後も不具合修正し、ユーザーの反応も取り入れたアップデートを行うことでアプリケーションのリリースをいち早く行え、かつユーザーライクなアプリケーションを実現することができます。この「ユーザーと運営企業を繋ぐこと」を主軸に考えるのがSoEです。

業務アプリケーションのこれまで

このことから、これまでの業務アプリケーションはその多くが「SoR」に分類されるといえます。
安定性やクォリティ(操作性、性能、機能)を重視したアプリケーションであり、そのUIは、文字どおりPCとそれを使う人間の間にあって、人間の指示をコンピュータに伝えたり、コンピュータの出力結果を人間に伝える物でした。
そのため、正しい入力、効率的な入力、整理、整頓などを追求していくことが必要になります。

富士通九州システムズでは、SoR分野のパッケージやSaaS製品があり、その多くがWindows フォームを活用したソリューションで、UIを考える際には、操作性や、性能、機能に軸が置かれていたそうです。

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これらのパッケージ製品には、グレープシティも採用されており、特に帳票出力での印刷や用紙の向き・サイズ調整など難しい部分はActiveReportsで実現しています。

業務アプリケーションのこれから

後半では、SoE領域の「業務アプリケーション」について、実際に担当されたプロジェクト(Iot、Robotics、AI)を紹介していただきました。
特に、トイレの混雑緩和・看守りサービス(Iot)の事例は、身近にあるもので興味深いものでした。

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私自身も通勤中に、お腹が痛くなりトイレに行ったものの、立ち寄ったトイレは長蛇の列ですぐに使えない…といった経験があります。緊急事態の時にこのシステムが利用できるようになれば、便利だろうなと感じました。ぜひ、公共機関での導入実現に期待したいところです。

そして、今話題のAI機能については、「AIですごいことができる」と誤解している人が多いようです。
実は賢いAIが存在するのではなく、「とにかく失敗しても何度も実践あるのみ」で教育していくことが重要であり、AIは調理に似ていてAIレシピを充実させることが大事なのだそうです。
日本ではまだAI導入企業は少ないものの、良質な学習データを保有していることが強みだということで、開発分野でも注目していきます。

まとめ

SoR(これまでの業務アプリケーション)とSoE(これからの業務アプリケーション)を、住宅で例えるとわかりやすいので記載しておきます。

  • SoR
    • ツーバイフォー工法
    • 耐震性、断熱性、気密性などの性能の高さに加え、設計・生産の品質が確保し易い
  • SoE
    • デザイナーズマンション
    • ユーザーの利便性重視

「SoRは成熟期なのか?これからの業務アプリケーションにシフトしてくのか?」と思いましたが、成熟期や枯れるというものでも、SoR領域のビジネスが減る訳ではなく、既存システムをレグレッション(デグレ)しないように保守していく必要があるという見解でした。
これからの時代もSoR領域とSoE領域の両軸で進めていくべきということが本セッションで導き出した方向性のひとつといえます。


セッション資料

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