すべての開発者の利益のために ー Toolsの杜 レポート (トヨタ自動車株式会社 様) ー

2018年7月10日に開催した「Toolsの杜(ツールノモリ)」で、トヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ)の稲垣 篤 様にご講演いただきました。
こちらはセッションを受講したグレープシティ社員によるレポートです。


守りのITの改革
– 圧倒的なシステム開発生産性の確保に向けて –

大企業のシステム開発はどのように推進するのか?
情報システムの視点から紹介するこのセッションには、多くの受講者が集まりました。

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世界的企業「TOYOTA」の情報システム

セッションの前半ではトヨタにおける情報システムの組織および全体像をご紹介いただきました。会社全体でみると、なんと約800を超えるシステムが存在しており、そこで管理している情報が車両企画から開発・調達・生産・販売へと流れていくということでした。

いわずと知れた自動車メーカーであるトヨタですが、情報システムの面においても高い技術と管理能力が要求される様子をうかがい知ることができました。

攻めのIT、守りのIT

続いて、稲垣氏は、情報システムを取り巻く環境が変化してきていることを述べ、従来の延長線上の活動を「守りのIT」、自動運転や工場IoT、ビッグデータ・AI・高度セキュリティといったビジネスの変化に対応、将来に向けた準備をしていく活動を「攻めのIT」として説明しました。

攻めのITが重要であることは想像しやすいのですが、IT人材の不足と高齢化に備えつつ、情報を軸とした働き方変革により、守りのIT、いわゆる業務システムに新たな付加価値を創造していきたいというお話しは、トヨタの業務をITで支える情報システム部門の誇りに触れた気がしました。

システムのモダナイゼーション

モダナイゼーションへの期待は基幹システムに対しての苦情だという認識の上での社内調査において、ユーザーからの要望(苦情)で2番目に多いのが「操作性の向上」、ストレスのない操作性への期待だそうです。約4割の要望に該当するUI/UX (直観的・スムーズな操作性)に求められるのは、結局のところ、Excelライクな操作性。

解決策として稲垣氏がWeb検索で見つけたのが「SPREAD」。それをきっかけに当社への問い合わせにつながりましたが、はじめてのミーティングでは機能改善の要望が断られたというエピソードが披露されました。製品の仕様上の問題でやむを得なかったとはいえ、スタッフとして会場にいた当時の担当者は冷や汗をかいていたようです。

また、別のWebシステムでは「Excelライクな操作性」の要求に応えるべくSpreadJSが採用されました。会場では実際のシステムを操作する様子が上映され、こちらは担当者も安心して観ることができました。

現在ではグレープシティと包括契約を締結し、以下の製品を中心に情報システムにおいて幅広く利用していることも紹介されました。

早く、安く、うまく

守りのIT、業務システムにおいて使えるリソースは限られてきます。それはトヨタも例外ではなく、古いシステムの更新+新たな付加価値となるモダナイゼーションもまた、「早く、安く、うまく」やることが要求されます。この要求に答えるべく、当社開発支援ツールの採用に加えてトヨタが進めているもう一つの取り組みがノンプログラミングツールOutsystemsを活用したスピードの確保だそうです。

自動車製造でも手作業から自動化が進められ、制御システム分野でもモデルでの開発にシフトしている、業務システムでも変化の時代が来ているというお話しには説得力がありました。

トヨタのメッセージ

今回、当社製品やOutSystemsの利用者である、トヨタ側から視点と戦略、そしてその背後にある「トヨタだけではなく、すべての開発者の利益のために」という壮大なメッセージを受け、開発支援ツールを提供するコンポーネントベンダーとして改めて開発者の利益のためにツールを提供していることに身が引き締まりました。

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セッション中は、時折冗談を交えながらも、システム開発にとらわれない業務改善のプロセスを丁寧に解説していただきました。

世界的企業トヨタのシステム概要や、開発プロセスなどの貴重な情報を聞きながら、大きくうなずく受講者や、ノートにすばやくメモを取る姿が多く見受けられました。

※このセッションで紹介した情報の特性上、セッション資料の公開予定はありません。ご了承ください。

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